歌舞伎座

本日、夜、渋谷の部屋を使っていただいているMさんらと「シェ松尾」で会食予定だったが、仕事の都合でかなわず。歌舞伎座昼の部にご招待いただいた。Mさんは薄い黄色の和服でいらっしゃり、ポカポカとした陽気にふさわしい明るい雰囲気だ。
舞台では、橋之助の三男の宜生(よしお)くんが3歳になったばかりで初舞台。お兄さんたちを見ながらお辞儀してみたり、途中でピョコンと顔を上げてみたり、そのたびに会場は爆笑で、可愛らしいお披露目だった。「高時」では、橋之助の高時。この人が悪役の浪人などをやると妙に凄みがあって、ピッタリくる。天狗たちの跳躍と踊りも楽しめたが、個人的には橋之助の悪役ぶりに目が行った。「茶壺」は有名な狂言だ。踊りの名手三津五郎の、相方を真似しながら踊る剽げた踊りで笑いが止まらない。「一本刀土俵入り」は「荒川の佐吉」同様、勘九郎の当たり役だろう。関東の田舎、取手あたりののどかな空気を芦燕の老大工が見事に表現していた。萬斎の「ハムレット」でオフィーリアを好演した芝のぶの子守娘も、表情がいい。最後の踊り、「菊薫縁羽衣」は一家総出で華やかに舞う。色調の美しさを楽しませていただいた。宜生くんへの舞台幕が、薄い黄色に玩具や馬の絵でかわいらしく、印象に残る。