ひさびさの温泉

タイ式チャーハン

このところ、温泉にごぶさたしていた。この反省を胸に、嶽温泉へ足を向けることにした。なぜ嶽温泉か。無性にトウモロコシを食べたかったからである。「だけきみ」は嶽を産地とするとうもろこしの別称で、昼と夜の温度差が大きい高原で作られるため、日本一甘いとも言われる。わが部屋の近くの小さな市場でも、「だけ」と乱暴に書いたトウモロコシが店頭に積まれている。青森ではトウモロコシのブランドと言ってもいい存在だ。11時頃、車で青森を出て、弘前市街を通り過ぎ、岩木山の麓をどんどん登っていく。やがて道路の両側に露店がたくさん並び出す。売っているのは、だけきみ、そば、山野草だ。このあたり貴重な野草が多く、その道が好きな人にはホットスポットらしい。「岩の茶屋」というところに車を止めると、若奥さんが「暑い暑い」と言いながら「だけきみ」の茎を落とし、葉をむいている。生は10本で1,000円。茹でたものは200円。まずは1本。んーー、ふつうのトウモロコシと変わりないと思いきや、やっぱり甘い。粒が大きい。これがだけきみか、と思いながら天ぷらそばも食べる。
さらに10分ほど走って道路を右に逸れると嶽の温泉街だ。自家用車とバスでぎっしり。公共駐車場はとめるところがないので、「縄文人の宿」という旅館の駐車場にとめ、そのまま「縄文人の宿」の外湯に入る。お湯は薄く濁って硫黄臭あり。疲れがとれそうだが、とにかく熱い。若いお兄さんもじいさんも顔をしかめるくらい熱かった。入っては外で身体を冷やし、また入っての繰り返しで30分ほどを過ごし、身体に硫黄の臭いをたっぷり付けて、ついでにお湯も飲んで、外へ出た。土産物屋でまた「だけきみ」に目がとまり、2本目を行く。こちらのほうがやや大きかったが、味は同じ。値段も同じ。店頭で食べるのに夢中になっていると、人混みを避けながら走るクルマにぶつかられそうになる。なかなか油断がならない鄙びた温泉街なのだ。帰路について1時間ほど走ると眠くなってきた。温泉の効能バッチリである。国道でフラフラッとして、後ろの車に追い抜かれる。浪岡の「道の駅」が近くにあってよかったよ。しばし休憩 zzz。青森にたどりつく。