温泉はしご

カライを食べて汗をかいたら温泉へ行きたくなり、プランを練る。この1週間の疲れも落としたいので先週のような遠方はやめて、近郊で「猿倉温泉」にねらいを定める。山道を車で30分ほど。前に行った「酸ヶ湯温泉」の10分ほど先だ。青森を出るときは晴れていたのに、酸ヶ湯を越えた辺りから霧が濃くなってくる。視界40mぐらいか。冷たくて暗くて濡れる中を走り、脇道にそれて1分ほどで温泉宿が見えてくる。本館と新館、宿泊用の一軒家が3つくらい。山歩きの人向けの、山の中にポツンとある旅館だ。周りは山。駐車場を挟んで小さな川が流れている。宿泊者以外は新館に入らないでくださいとか書いてあるので、権高に見えるが、実はとても人情味がある応対をしてくれる。純朴な家族的な宿だ。でも、ここの湯が十和田温泉街に供給されていることを考えると、単なる山奥の一見宿ではない、大変なところなんじゃないかと思うのだけど・・・それはともかく、6〜7人が入れる外来用の露天風呂は隣が山肌で、眺めはとても悪い。だけど霧がすぐ近くに迫っているので、深山でひっそりと入っているような野趣がある。お湯は硫黄泉。ちょっとだけ熱い湯だ。飲むと腹にジンと来る。身体を伸ばしてしばし弛緩状態に。お湯を出たら身体がほてってしょうがないので冷たいお茶を自販機で買ったが、これは失敗。かえって身体が冷えてしまった。
身体が冷えたままでは帰りたくないので、もう1軒、どこかへ入っていこうと思いながら霧の中を八甲田方面へ走り、湿原を抜けた辺りで「八甲田温泉」の看板を見つける。ここも一軒家だが、猿倉温泉より大きいロッジ風の建物が建っている。中は旅館風のカウンターとロビー、右手には大休憩室がある。家族で来て長居するのによさそうな温泉だ。内湯と露天風呂があるが、まずは高血圧と動脈硬化に効くという内湯に入る。入った直後から背中にピリリと電流が走り、凝りと疲れがほぐれていくのが分かる。これはいいと長湯を決め込む。何しろ、そんなに熱くない。外の露天風呂はぬるくて早々に退散してしまったくらいだ。ここでは本当に温まった。いい気分で霧の中を青森に向かう。八甲田山を越える道を走っていたら、霧が晴れて青空が見えてきた。日差しの暑さが腕に戻ってくる。不思議な気分だけれども、これも山国青森の天候なんだろうな。