変な客

夜は「広州」で油淋鶏定食。その名のとおり鶏を油で揚げたものだが、しょうゆ味のタレがよく合っている。ハグハグとおいしくいただいた。そんなおいしい食事の間、カウンターの私の隣に50代の恰幅のいい男性が座っていた。近所のおじさん風な格好だ。この人、ほんの少量を残して食べ終わり、新聞を読んでいるのだが、店の女性が食器を片づけてよいかと聞くと、「まだまだ」と拒否する。でも箸は付けない。そのうちにタバコに火を付ける。火を付けたまま灰皿に置いて吸わない。ただただ、店のスポーツ新聞を読み続ける。私が食べ終わる頃、片づけを断った料理には結局、箸を付けずに店を出て行った。灰皿のタバコは燃えさしになっていた。実は、青森ではこういう人をよく見かける。人前で尊大に振る舞いたがる。が、周りの様子をチラチラとうかがう小心さも持ち合わせている。例えば温泉でザブンと湯をかぶって周りにもかぶらせてしまうのだが、後ろを怖そうな人がとおるときは気を付けて湯をかぶる。卑屈というかセコいというか。相手が強く出ると引っ込んで、弱いと思うと威張り始める。集団になると手が付けられないが、個人だとオドオドしている。ちっぽけな権力を振り回したがる小役人に通じるものがある。こういう根性はどこで養われるのだろう。それはしばらく住んでいると分かってくるのだろうか。